震災後の街からコーヒーを

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

For the English version of this article, click here.

2011年3月11日は永久に日本の長い歴史に残る日になるだろう。その日、マグニチュード9の地震 —東日本大震災— が東北を含む東日本を襲い、 仙台も甚大な被害を受けた。地震と津波の被害の少なかった地域では、福島原発事故からもれた放射能への恐怖が広がり、そのニュースはアメリカでも地震の数ヶ月後までも放映され続けた。東日本大震災は多くの人の心に暗い影をのこした。しかし、そんな震災から4年たった東北の地、ここ仙台の街は復興の真っ只中だ。建てられたモニュメントや、駅や空港の壁に加えられた線やサインが、どれだけ津波が高かったを物語っている。震災以前の日常を取りもどすことはとても難しいことだろうと想像する。

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

東京から366キロ北に位置する、”杜の都”、仙台は、東京や大阪の大都市と比べるとわりとゆっくりとした比較的小さめの都市だ。仙台名物は、終戦から続く牛タン焼き。約100万人の人口を誇る。その100万人の一人が、フラットホワイトコーヒーファクトリー共同経営者の”ミッキー”中澤こと、中澤美貴さんだ。中澤さんという人の職歴が、まさにこのストーリーの二つの点 —日本の現代コーヒーの歴史と、世界も賞賛する東北の驚異的な復興— をつなぐ。

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

Yoshitaka “Mickey” Nakazawa

1996年8月、銀座の一角にスターバックスの日本第一店舗がオープンする。中澤さんは当時隣にある銀行の営業部に勤務していた。世界中のスペシャリティーコーヒーに関わる多くの人がそうであるように、彼もコーヒーのキャリアをスターバックスで始めた。その後中澤さんはタリーズの一店舗目のオープンに携わり、日本でも最大級のコーヒーチェーン、ドトールにも勤務する。1998年、中澤さんはさらにアメリカのコーヒーチェーンの日本進出を手伝おうと、英語を学ぶためにニュージーランドのオークランドへ 移住する。そこで中澤さんはニュージーランドのコーヒー文化とフラットホワイトコーヒーに魅せられ、シエラコーヒーで(英語がつたないながらも)バリスタを始める。その時代にニュージーランドで学んだすべてのことがいまの彼のコーヒー業界でのキャリアに大きな影響を与えている。

話は戻り、現在のフラットホワイトコーヒー仙台では、とても技術的なメニューを提供している。通常のエスプレッソベースの飲み物(特に東北ではレアなフラットホワイト)に加えて、 豆も”ビター” や“フルーティ&マイルド”など好みに合わせて選べる。抽れ方はポアオーバー、エアロプレス、ケメックス、サイフォン、またはメタルフィルターなどから選べ、最後にコーヒーの温度も通常(熱め)か温めと調整してもらえる 。

焙煎された新鮮なコーヒー豆を求めてくるお客さんは、24種類ものシングルオリジンの中から好きな豆を選ぶことができる。スペシャリティーコーヒー初心者のお客さんの為に、中澤さんと彼のチームは 縦型の引き出しのような豆見本を用意している。この豆見本にはカッピングノートも合わせて表記されていて、お客さんが好みの種類を選びやすいようにとの配慮がうかがわれる。

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

日本の多くのロースターたちはブレンドに力を入れているが、中澤さんと彼のチームはシングルオリジンのコーヒーを提供することにウェートを置く。中澤さんは ”シングルオリジンの豆は美しい” と言い、”僕らはお客さんに独自のブレンドを楽しんでもらいたいんです。僕たちがお客さんに豆をおすすめすることはいつでもできるけど、お客さんが世界のさまざまなコーヒー豆の違いを学んで、選んで、楽しんでくれることが僕らの喜びなんです” と言う。大学生から会社員、お年寄りまで、さまざまなお客さんが次々と店を訪れる。これまでにない革新的なコーヒー店に、さっそくお客さんはハマっているようだ。

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

二つのコスタリカコーヒーを頼んでみた。“レベンス”と”エルハルコン”をV60で入れてもらう。中澤さんはコスタリカの”プラビタ” Tシャツを着ていて、最近の買い付け旅行の思い出を漂わせている。“レベンス”はイチゴやフローラルのような風味で、シロップのようなフィニッシュ。”エルハルコン”はミルクチョコレートとジャスミンの風味と並行して甘いドライフルーツや赤ワインのような風味も持ち合わせていた。パンフレットにそれぞれのコーヒーの産地の高度、豆の種類、農場の情報やカッピングコメントなどがのっている。フラットホワイトコーヒーファクトリーはまさにコーヒーの深さをお客さんに教えるビジネス体系だ。これは世界中どこのコーヒー店でも大事なことだが、 震災からの復興中の地方都市仙台で、というから改めて感服する。

flat white coffee factory sendai japan sierra coffee company max coffee roasters sprudge

一度すべてのものが無くなってしまうと、アイデンティティーが変わる、そして新しい自分が始まる。仙台が東京のようなメジャーな観光地にはならないか?その答えは誰にもわからない。この街のシステムは復旧している。刺激的で革新的な世界レベルのコーヒー専門店が、地方でスペシャリティーコーヒーを普及、啓蒙し、日本一のコーヒーショップへとなることもあり得るだろう。フラットホワイトコーヒーファクトリーは、仙台の新しいアイデンティティーを作り上げる一員になっている。復興とはこんなことじゃないだろうか。そしてミッキー中澤含むチームはたしかに、この街の美しい —そしてとてもおいしい— 未来を描き共有している。

Richard Sandlin (@RDSandlin) is an American coffee professional and Sprudge contributor based in Oakland, California. Read more Richard Sandlin on Sprudge.

Ayuchi Haga Sandlin (@ayuchiiiii) is an environmentalist and graphic designer based in Oakland, California. This is Ayuchi Haga Sandlin’s first feature for Sprudge.


RELATED POST

COMMENTS ARE OFF THIS POST

INSTAGRAM
Follow us on Instagram